新年のご挨拶

世界ではきな臭い匂いが立ち込めています。

ロシアのウクライナ侵攻しかり。ガザ地区等におけるイスラエルとハマスの衝突しかり。台湾海峡に立ち込める緊張感しかり。経済に目を転じると、2018年にはじまった米中貿易摩擦が世界経済の逆風と中国経済の成長鈍化としてあらわれています。

世界の各方面からこれまで以上に地政学リスクが意識されています。これを2000年初頭から声高に叫ばれてきたグローバライゼーションの終焉とする向きもあります。

私は2004年から2019年までの15年間、キャリアの大半を中国で過ごしてきました。時には日中関係の緊張や軋轢を耐え忍び、時には両国間の互恵的協力の進展を喜び、数多くの日中クロスボーダー案件に携わってきました。

マクドナルドの店舗が世界中に広がれば戦争はなくなるという「紛争防止の黄金アーチ理論」の真偽は兎も角、良い時も悪い時も、中国で日本企業の経済活動の灯を絶えさせてはならないと考えています。

日本企業の対中直接投資は2001年の中国のWTO加盟以来一貫して上昇トレンドにありましたが、2022年には大幅に減少し、まさに両国間の経済関係は転換期の様相を呈しています。

(出所)JETRO及び各種資料にて作成

中国日本商会の調査によると、会員企業の今後の投資予定では今のところメインシナリオは「様子見」となっています。

(出所)「会員企業景気・事業関係認識アンケート調査」、中国日本商会

日本企業が中国から大挙して撤退するという状況はまだ数字に表れていません。しかし、前職の営業現場で数多くの企業経営者の方々とお話をしてきた肌感覚からすると、それらが強く意識されはじめています。

経済活動においても新陳代謝は必要なので、栄養補給だけではなく、時にはデトックスも肝要です。個人的にも、これまで数多くの撤退案件でのアドバイス経験がありますので、むしろ得意領域とも言えます。

しかしながら、中国で浮き沈みを経験してきた立場から申し上げると、中国事業は「波乗り商売」なので、最も合理的な対応策は沈み込んでいるうちから用意周到に張り続けることだと思います。中国のスピード感からすると、大きな波がきてからでは手遅れです。余談になりますが、上海総合指数が3000ポイントを割り込む中、インデックス連動投信を積み立てるだけでも、それなりの妙味があるように思えます(新NISAのつみたて投資枠に中国株インデックスはないようなので、成長投資枠になります)。

昨年11月末で前職を退職し、12月1日に立ち上げたRoot Investmentは本年1月より本格的に始動します。本邦企業の中国における新陳代謝の一旦を担う毛細血管としてお客様の栄養補給或いはデトックスをお手伝いしていこうと思います。

本年も何卒よろしくお願い致します。

Root Investment株式会社

代表取締役 関根徹

2024年1月5日


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